マルイチ薬局 医療安全管理指針
1.総則
1 – 1 基本理念
- 当薬局は、地域における医薬品の供給拠点として、また、地域医療を担う医療提供施設として、地域住民の皆様の安全・安心な薬物療法に貢献する。
- 当薬局では、個々の職員が研修等を通じて医療安全に対する意識を高めるとともに、組織的に事故防止の徹底に取り組む。
- 何らかの事故が発生した場合には、個人情報の取り扱いに配慮した上で患者やその家族に十分な情報を速やかに提供するとともに、事実関係を調査し、原因の究明や再発防止策を行う。
- さらに、良質かつ適切な薬局サービスを提供するため、患者をはじめ薬局利用者の相談に丁寧に対応し、十分な説明を行うよう努める。また、患者・薬局利用者と情報の共有を図ることで、相互の信頼関係を築けるよう努力する。
- 以上の取り組みを明確なものとするため、当薬局における医療の安全管理に関し、ここに指針を定める。
- この安全管理指針は、患者の求めに応じて閲覧できるものとする。
1 – 2 用語の定義
本指針で使用する主な用語の定義は、以下のとおりとする。
- 調剤事故
医療事故の一類型。調剤に関連して、患者に健康被害が発生したもの。薬剤師の過失の有無を問わない。 - 調剤過誤
調剤事故の中で、薬剤師の過失により起こったもの。 調剤の間違いだけでなく、薬剤師の説明不足や指導内容の間違い等により健康被害が発生した場合も「薬剤師に過失がある」と考えられ、「調剤過誤」となる。 - インシデント事例(ヒヤリ・ハット事例)
患者に健康被害が発生することはなかったが、ヒヤリとしたり、ハッとした出来事。患者への薬剤交付前か交付後か、患者が服用に至る前か後かは問わない。 - 従業者
薬局に勤務する薬剤師・事務職員等あらゆる職員を含む。 - 医薬品安全管理責任者
本指針に沿って、薬局における医薬品の安全使用のための体制を整備し、従業者が行う業務の管理を行うための責任者。 - 管理薬剤師
薬事法第7条に規定する「薬局を実地に管理する者」 - 開設者
薬事法第4条に規定する「薬局開設の許可を受けた者」
2.医薬品安全管理責任者の設置
医薬品の安全使用のための体制を整備し、従業者が行う業務の管理を行うための責任者として、当薬局に「医薬品安全管理責任者」を設置する。当薬局では医薬品安全管理責任者は管理薬剤師が兼任する。
3.事故報告に関する体制整備
当薬局では、発生した調剤事故等に適切に対応するため、調剤事故等の情報が、従業者から開設者に速やかに報告される体制を整備する。
3 – 1 報告すべき事項
すべての従業者は、当薬局内で次のいずれかに該当する事態が発生した場合には、医薬品安全管理責任者を通じて、開設者に速やかに報告するものとする。
- 調剤事故(調剤過誤を含む)
- 重要なインシデント事例(調剤事故には至らなかったが、発見・対応等が遅れれば患者に有害な影響を与えたと考えられる事例)
- その他(日常業務の中で危険と思われる状況、患者等との紛争に発展する可能性のある事例など)
3 – 2 報告の方法
報告は、原則として書面をもって行う。ただし、緊急を要する場合にはまず口頭で報告し、その後速やかに書面による報告を行う。報告書は、調剤録及び薬剤服用歴管理記録に基づき作成する。
3 – 3 報告に基づく改善措置
医薬品安全管理責任者は、従業者から報告された情報に基づき問題点を把握し、業務上の改善策を他の従業者とともに検討・立案・実施する。さらに、医薬品安全管理責任者は、改善策が確実に実施され、かつ安全対策として有効に機能しているかを常に点検・評価し、必要に応じて見直しを図るものとする。
3 – 4 報告書の保存
報告書は、調剤録及び薬剤服用歴管理記録とともに 3 年間保存する。
3 – 5 その他
開設者、管理薬剤師並びに医薬品安全管理責任者は、報告を行った従業者に対して、これを理由として不利益な取り扱いを行わないこととする。
4.手順書の作成及び手順書に基づく業務の実施
当薬局では、医薬品の安全使用のための業務に関する手順書を作成し、当該手順書に基づいて業務を実施する。
4 – 1 業務手順書の作成・見直し
開設者の責任の下、医薬品安全管理責任者は、以下の業務についての手順書を作成する。業務手順書は、作成後も必要に応じて適宜見直しを行う。
- 医薬品の採用
- 医薬品の購入
- 調剤室における医薬品の管理
- 患者への医薬品使用
- 在宅患者への医薬品使用
- 医薬品情報の収集・管理・提供
- 他施設との連携
- 事故発生時の対応
- 教育・研修
4 – 2 業務手順書に基づく業務の実施
当薬局では、医薬品の安全使用のための業務に関する手順書に基づいて、業務を実施する。
4 – 3 業務の実施状況の確認など
医薬品安全管理責任者は、従業者が手順書に基づいて業務を実施しているかを定期的に確認し、確認内容を記録する。
また、医薬品安全管理責任者は業務の実施について確認を行った際、薬局業務に関して改善すべき点を把握した場合には、開設者に対して必要な意見を述べ、開設者はそれを尊重する。
5.医薬品の安全使用のために必要な情報の収集
当薬局では、開設者の責任の下、医薬品安全管理責任者が医薬品に係る安全使用のために必要な情報を収集する。
5 – 1 医薬品の安全使用のために必要な情報の収集・活用
医薬品安全管理責任者は、医薬品の安全使用のために必要な情報を、医薬品添付文書情報のほか、医薬品製造販売業者、行政機関、学術誌、薬剤師会誌及び薬剤師会のホームページ等から広く収集し、管理する。得られた情報のうち当薬局にとって必要なものは従業者に周知を図るとともに、医薬品の安全確保を目的とした方策の実施に活用する。
5 – 2 厚生労働大臣及び医薬品製造販売業者への報告
当薬局において、薬事法に基づく報告が求められる医薬品の副作用等の発生を把握した場合は、開設者が厚生労働大臣に対して遅延なく報告を行う。また、当薬局は、医薬品製造販売業者等が行う医薬品の安全な使用のための情報収集に協力する。
6.患者からの相談への対応
当薬局では、患者を含む薬局利用者からの相談・意見・苦情に真摯に対応する。
開設者は、薬局利用者が相談したことにより、不利益を被ることがないよう、相談苦情の保護に必要な措置を講じる。
7.従業者に対する研修の実施
当薬局では、開設者の責任の下、あらかじめ作成した研修計画に従い、医薬品の安全管理のための研修を実施する。
7 – 1 研修の趣旨
研修は、薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保するための基本理念、及び安全確保に関する具体的方策等について、すべての従業者に周知徹底を図ることで、安全確保に関する個々の従業者の意識を高揚し、かつ薬局において安全に業務を遂行するための意識・技術の向上を図ることを目的とする。
7 – 2 研修の実施
- 医薬品安全管理責任者は、あらかじめ作成した研修計画に従い、年 2 回、すべての従業者を対象とした医薬品の安全管理のための研修を実施する(薬剤師会が開催する研修会等外部研修の受講を含む)。
- 医薬品安全管理責任者は、当薬局で重大な事故が生じた場合等、必要があると認めるときは、臨時に研修を実施するものとする。
- 従業者は、研修が実施される際には、受講に努めることとする。
- 新規採用者に対しては、採用時に研修を実施する。
7 – 3 研修の内容
研修の内容は、次に掲げる事項とする。
- 医薬品の有効性・安全性に関する情報、使用方法に関する事項
- 薬局の業務手順に関する事項
- 調剤業務における事故防止のための方策、遵守すべき法令等に関する事項
- 事故発生時の対応に関する事項
- その他、薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保することを目的とする事項
7 – 4 研修の方法
研修は、医薬品安全管理責任者の講義、薬局内での報告会、事例分析、外部の講習会・研修会の受講及び伝達会、有益な文献等の抄読などの方法によって行う。
なお、業務手順に関する研修は当薬局内において実施する。
7 – 5 研修の記録
開設者は、研修の実施内容(開催または受講日時・場所、受講した従業者の員数及びその氏名、研修の内容など)を記録し、 2 年間保存する。
8.その他医療の安全確保を目的とした改善のための方策の実施
当薬局では、医薬品の業務に係る医療の安全確保のため、上記の取り組みの他、必要な方策を講じる。
具体的には、インシデント事例(ヒヤリ・ハット事例)を収集し、収集した事例の分析を行い、改善措置を講じるものとする。収集したインシデント事例及び改善措置などの情報は、すべての従業者で共有するものとする。
9.本指針の取扱い
9 – 1 本指針の対象とする範囲】
本指針は、当薬局における調剤等の業務を対象とする。また、一般用医薬品の販売等の業務については、本指針における調剤等の業務に係る安全確保に準拠した扱いとする。
9 – 2 本指針の閲覧
当薬局では、患者及びその家族、地域住民から本指針の閲覧の求めがあった場合には、これに応じるものとする。また、本指針についての照会には開設者または医薬品安全管理責任者が対応する。